2009.3.15

「山」を数えるということ
山の数え方にはいろいろあります。「座」「峰」「岳」「脈」「連」などがあり、私たちは昔から「座」と数えています。
では、「山」とは何か。これが意外と難しい問題です。
映画『ウェールズの山』に出てくるイングランドの定義では、305m以上を「山」としています。ほかにも610m以上を山とする定義もあるそうです。そうなると、大阪の「天保山」は「山」としては認められませんね。
私たちがこれまで登った山を数えると、305m以上を基準にすると「438座」、610m以上なら「291座」になります。では、たとえば、目的の山へ向かう途中にある小さな山は?
山頂が聖域で立ち入れない場合、その山は「登った」と言えるのでしょうか?
双耳峰(ふたつの頂がある山)は1つと数えるのか、それとも2つなのか?
標高差400mもある展望のいいピークが、無名だからといって「山」として数えられないのはおかしくない?

もし、そのピークに「***山」と勝手に名前をつけ、立派なプレートを設置したら? そうすれば数年後には、地元の人もそう呼ぶようになり、本当に「山」として認識されるかもしれませんね。
結局のところ、国や地域、個人によって「山」の定義はバラバラです。「座を数える」という行為のためには、自分なりのルールを決めるしかありません。これは、サイトのアクセスカウンターの設置方法にも似ています。自分の基準で数えればいいのであって、他人に押しつけるものでもないし、他人がとやかく言うことでもない。
いっそ「ポイント」と呼んでしまうのもアリかもしれませんね。
「ポイント**山」「ポイント**山北尾根」「ポイント**山北尾根展望地」……なんて、歩いた場所すべてに名前をつけたりして。
……いや、さすがにこれは冗談です。キリがありませんからね。
私たちの「山」の定義
では、私たちはどんな基準で「座」を数えているのか? 話し合った結果、以下のどれかに当てはまれば「座」とすることにしました。
1. 地図上に「山」として記載されている
2. 三角点がある
3. 地元の人が名前をつけ、実際に登っている
4. 山頂が聖域で立ち入れない場合は、行けるところまで
5. 双耳峰や縦走ルート上の山は、先人の数え方に従う
中には、こうした定義の違いに悩み、「数えるのをやめた」という人もいました。気持ちはよく分かります。カウント漏れもあれば、二重カウントしてしまうこともあるでしょう。でも、私たちはあくまで自分たちの「遊びのバロメーター」として、記録を続けていきたいと思います。

森林浴が楽しめる場所、見晴らしのいい高い場所や先端、三角点のある高原……好きな場所は無限にあります。
深田百名山を目標にする人、高低差を積み重ねる人、歩いた距離をつなぐ人、同じ山に何度も登る人——山の楽しみ方は人それぞれ。それが登山の素晴らしいところです。
余談
ある山の山頂で、こんなことを言っている人がいました。
「日本百名山からせいぜい三百名山くらいまででしょう? 山と言っていいのは! それ以外は、山じゃないですね」
……恥ずかしいから、やめなさい。